解説付 臨床工学技士国家試験 第36回 午後:第74問

血液浄化に関連して正しい組合せはどれか。2つ選べ。

a: 限外濾過 - 溶質の濃度差による移動

b: 拡散 - 圧力差による移動

c: 浸透 - 溶媒の移動

d: 半透膜 - 細孔によるふるい分け

e: 吸着 - 吸着材への溶解

血液浄化では拡散(透析)、限外濾過、吸着という3つの物理的原理を利用している。これらの原理を単独にまたは併用して利用し、生体にとって過剰、不要、有害であるなどの物質を除去している。拡散(透析)と限外濾過を利用するためには半透膜を使用し、吸着を利用するためには吸着剤、または吸着能を持った半透膜を使用している。
拡散:
物質の濃度に差があるとき、その物質の自由な分子運動によって、濃度が次第に均一になる現象である。半透膜を通過できる溶質が、濃度の高い方から低い方へ拡散する現象を透析という。溶質の移動速度は、分子量が小さいほど早いことが知られている。
濾過:
液体や気体を半透膜やフイルターなどの多孔質物質を通過させることによって、通過できない成分を分離することをいう。半透膜によって隔てられた二つの液体に、機械的な圧力差をつくりだして、溶媒の移動を促進させることを限外濾過という。濾過と限外濾過に本質的な違いはない。溶媒の移動にともなって溶質が移動するために、分子量の大きな物質も比較的に移動しやすくなる。
吸着:
固体や液体の表面に、物理学的または生物学的な相互作用により、他の原子または分子が吸いつくことをいう。活性炭は多孔質で表面積が大きいために吸着性が大きく、安価な非特異的吸着剤として広く活用されている。

a:半透膜によって隔てられた二つの液体に、機械的な圧力差(血液透析では陰圧方式)をつくりだして、溶媒の移動を促進させることを限外濾過という。

b:半透膜を通過できる溶質が、濃度の高い方から低い方へ移動する現象である。

c:正解。濃度の低い溶液から高い溶液へ溶媒が移動する現象である。

d:正解。半透膜とは、ある物質は通過させるけれども、他の物質は通過させないという性質を持った膜のことをいう。細孔の大きさによりふるい分けが行われる。血液浄化法に使用されている半透膜は、セロハン膜を改良したセルロース系膜と合成高分子膜との2種類に大別される。

e:吸着とは、吸着される被吸着物質と吸着する吸着材間の親和力によって起こる。

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臨床工学技士 国家試験 過去問
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